保健師のつぶやきNO.6-1
産業保健専門職の渋谷です。
山形は、アジアの技能研修性が多くいらっしゃいます。コロナ禍で、多くの企業が経営難となり、時給が低い技能実習生を雇用する傾向がみられてきました。先日、田舎の温泉に宿泊したところ、食事の配膳、下膳をアジア系の若い女性数人が担当していました。拙い日本語で「失礼します」「お下げします」等と基本的な挨拶や作法を身に着けていました。
彼らは自国の文化や宗教的な作法等は習慣づいていたとしても、日本の、しかも温泉旅館での食事の配膳・下膳に関するマナーを身につけるのは相当な努力をしたのだろうと思いました。気遣い、心遣い、間を含んだ細かい日本のマナー・礼儀・作法は、日本人でも慣れるまでは時間がかかることだと思います。文化も生活習慣も食べ物も異なる彼らに温泉施設で働くための基本事項を1から教えるのも、根気のいることだと思います。
食後、遅めに大浴場に行くと、彼女達が数人来て、静かに短時間で入浴を終え、戻っていきました。20代と思わしき若い彼女達が自国を離れ、異国の田舎の山奥の温泉地で仕事をするのは寂しさもあるでしょうし、強い意志や忍耐力のいることだと思います。
日本の少子高齢化に対し労働力を確保するために、日本では多くの企業が外国人技能実習生を起用し、年々国内の外国人労働者は増えてきています。都内でもコンビニ等でかなり外国人労働者が見受けられるようになってきましたが、田舎のしかも、礼儀やマナー等に厳しい温泉施設でも採用されていることに驚きました。
以前、勤務していた病院でカンボジアの若い看護師数人が短期間、実習で来ていました。開発途上国とは異なる病院内の環境にも驚いたと思いますが、彼女たちは臆することなく、指導された事を身に着け、健気に頑張っていました。その姿に、仕事に向かう姿勢をあらためて考えさせられましたし、応援していきたい気持ちになりました。慣れてきたころ、休憩時間に私がカンボジアに旅行した際の写真を見せたり、旅行中に覚えたカンボジア語を話したらとても嬉しそうにしていました。実習を終えて帰国する際は素敵な笑顔で感謝の言葉をくれました。彼女達はきっと今は実習や経験を重ねてそれぞれ活躍していることだろうと思います。
治療と仕事の両立支援に関わる上で”おたがい様の精神で”と言いますが、それはどこの職場においても大事な考え方だと思いました。
街の中で外国人の方を見ると、自国を離れ日本で尽力してくださっていることに感謝と敬意を覚えます。春先、工業団地方面に向かう自転車に乗った若いアジア系の男性2人を見かけました。2人とも笑顔で何か話していました。憂鬱な表情でなく仕事に向かっていたのが、嬉しく感じられました。
(続きはNO.6-2へ)