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保健師のひろば

保健師のつぶやきNO.4

2021.09.22

産業保健専門職の渋谷です。
健康診断後事後措置に同席していると、介護・福祉業者、建築業者は、有所見率が高い傾向にあります。どちらも肉体労働で体力を使う仕事です。受診や食生活の見直し、適度な運動をとアドバイスをしても、疲労や残業などでそれどころではないという方が多いのかもしれません。そのような方々が意識を変えて健康のために行動を起こすためにはどうしたらいいか。
社員の健康保持・増進の責任は雇い主にもあると思います。同時に雇われている社員もお給料をもらっている以上、健康な心身で労働力を提供しなければなりません。要するに健康管理も仕事のうちだと思っています。しかし雇い主は安全衛生管理以外にも考えなければならないことが多くなかなか社員一人一人の健康に関われないのが現状だと思います。50人未満であれば衛生安全委員会の設置が義務ではありませんが、例えば雇い主から有所見者に事後措置の結果を伝えて、受診期間を決め、済んだら報告等を受けるといったシステムを作り、社員の健康維持の為に踏み込めたら、変化があるのではないでしょうか。社員が自分の健康状態に興味を持ち健康寿命を長く維持できるようにという意識改革ができたら次は行動変容を促す必要があります。本人が段階的な目標を立て、実行する様子を見守りサポートするところまでのフローチャートを作成する等して、雇い主あるいは衛生管理担当者が社員の健康管理に関わることが出来たら、健康経営にも繋がると思います。

以前、健康診断の結果が数年にわたり改善がなく、”受診を条件に勤務可”と産業医より指示のあった方がいました。その方は高齢の両親の介護を一人で担っていていました。受診して入院となったら自分の代わりがいないといった思いも受診から遠ざかっている原因かもしれません。両親のヘルパーさんから介護について色々言われることがあるようで、それもストレスになっているようでした。過度なストレスは不眠、過食、拒食、マイナス思考等をもたらし、健康に悪影響を与えます。プライバシーの問題もありますが、そのような個人的な情報まで分かっているのであれば、社員の話や不満を傾聴する、ヘルパーを変えられないか市町村に相談してみる手もあるなど、少しでも心身の負担を軽減できるような関わりとともに受診勧告ができればと思います。

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