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保健師のひろば

保健師のつぶやきNO.5

2021.09.22

産業保健専門職の渋谷です。
8月中旬頃、通勤中に、歩道の端に座り込んでいる高校生を見かけました。ちょっと気になって見ていたら、立ち上がりましたが、学校側とは逆方面に歩いていき、公園のベンチに座り込みうつむいていました。足取りは重そうで、顔色がわるいようにも見えたので、「大丈夫ですか?具合わるい?」と声をかけてみました。ちょっと驚いたような表情をしていましたが「・・大丈夫です。」とか細い声で答えてくれました。学校は欠席し、母親が迎えに来てくれるとのことでしたが、熱中症の症状かもしれないし、日陰であっても外で待っているのは心配でしたので、冷房の効いている室内に一緒に行きました。ゆっくり話を聞くと、高校1年生で今日は夏休み明けの始業式とのことでした。各地域から来た生徒達と義務教育とは異なる雰囲気の中での学校生活、電車通勤、なかなか慣れない部分や緊張感もあるだろうし、入学から約4カ月新しい環境で頑張ってきたけど、またその環境に行くのが憂鬱に感じてしまったのかなと思いました。それでも、制服に身を包み、課題や教科書を入れた大きなリュックを背負い、電車に乗ってここまできたこと、よく頑張ったなと思いました。また、やっぱり行けないと決断したことも。
また別の日には、八時半近くに、小学生が一人で歩いていました。もう朝の会が始まっている時間のはずで、登校班も近くにいません。それだけが違和感でしたが、ちゃんと歩いていたし、表情や身なりにも違和感がなかったので少し安心しました。遅刻して焦っているようでもないし、この時間に登校する何かしらの理由があるのかなと気にかかりました。

近年、学校でも企業でも、メンタルヘルスが重要視されています。コロナ禍で人との関わりが疎遠になっていたり、今までのように誰かと外出や外食ができない、孤独になりやすい今は特に大事な領域だと思います。
様々な要因が心の不調をつくり、身体症状にも現れてくるケースが多いと思いますが、負の要因をため込まず、相談しやすいような窓口が普及していけばいいなと思います。最近はセンターにも企業からメンタルヘルス研修の申込が増えてきています。教育機関でも揺れやすく崩れやすい学生たちのメンタルヘルスにこれまで以上に目を向けていく必要があるのかなと思いました。

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