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保健師のひろば

健康コラム 2020年6月号

2020.06.29

『 見直そう!生活習慣【3】 ~ 歯磨き(口腔ケア)習慣 ~ 』

6月は6(む)4(し)にちなんで、毎年「歯と口の健康」についての啓発活動等が行われています(6月4~10日は「歯と口の健康週間」とされています)。健康コラムでも、今回は歯磨き(口腔ケア)習慣をテーマにしてみました。
虫歯の予防や歯ぐきの健康のために、歯磨きが大事であることは皆さんご存知かと思いますが、実は、「口の中の健康」のカギを握っているのは「唾液(だえき)」です。唾液によって、菌やウイルスなどが粘膜に侵入するのを防いだり、初期むし歯や口の中の粘膜が修復されたりしています。また、酸味や甘味などの食べ物の味覚を感じるためにも唾液は大きな役割を果たしています。唾液の分泌は、1日のうちで食事中と食後に最も増え、睡眠中に最も減る特性があります。口腔ケアは、唾液の働きや特性をふまえて行うことが重要です。
<唾液の働き>
初期むし歯を治す(再石灰化)・口の中を洗う(洗浄作用)・乾燥から守る(保湿作用)・粘膜を修復する・食べ物を噛んで飲み込むことを促す・消化を促す・味覚を感じる など

<唾液の働きを活かした口腔ケア>
【 朝 】起床後なるべく早めに、①水で口を何度かすすぐ(ブクブクうがい) ②歯磨き を行う。
(ポイント)寝ている間に口の中の細菌はかなり増えているため、ブクブクうがいで口の中の細菌をできるだけ口の外に出してから歯磨きをする。
【日中】①水で口をすすぐ(基本的には水や白湯で口の中をすすぎ、それを飲み込んでよいそうです)
(食後)②舌の先で歯ぐきや歯の表面、上あご、下あごをなぞり、唾液で歯磨きをする
③つまようじや歯間ブラシ、デンタルフロスなどで食べかすをとりのぞく
(ポイント)食後は食べかすを除くことが重要。唾液の作用を妨げないためには、食後の歯磨きは、食後20~30分後が効果的。
【 夜 】寝る直前に歯磨きをする。
(ポイント)睡眠中は唾液の分泌が減り、口の中の細菌が増えてしまうため、むし歯や歯周病が進行しやすい。丁寧に磨いて歯垢をなるべくきれいに取り除いておく。

ここでご紹介した口腔ケアは、唾液の働きを活かすことを優先としているため、日中の項目で記載した、食後20~30分の歯磨きなどは難しいという方や、食べ終わったらすぐに歯磨きをしたいという方もいらっしゃると思います。参考にしていただき、それぞれの生活に合わせて、可能な範囲で口腔ケアを行ってみてください。
また、歯磨きなどの口腔ケアは、インフルエンザウイルスの感染リスクを下げるということがわかっています。詳しくは、参考資料の日本医師会ホームページを参考にして頂ければと思います。新型コロナウイルスについては、まだはっきりした効果の有無はわかってはいませんが、口腔ケアで口の中をきれいにしておくことは、細菌やウイルスが体内に入るのを防ぐことにつながりますので、感染症予防のひとつの方法と意識して、毎日行っていただけたらと思います。

参考資料
【1】すべての不調は口から始まる  江上一郎 著
【2】口腔ケアで免疫力アップ 日本歯科医師会HP https://www.jda.or.jp/corona/tsukinoki.html
【3】インフルエンザ予防と歯周病菌 日本歯科医師会HP https://www.jda.or.jp/tv/96.html

担当:山形産業保健総合支援センター 産業保健専門職(保健師) 板垣

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